狸の巻物 神社・神話の巻

神代の物語8. 天孫降臨

(てんそんこうりん)
TOPページ狸の巻物TOP神社・神話の巻>神代の物語8. 天孫降臨(てんそんこうりん)

皇位継承と三種の神器、記紀神話の中核をなす思想がここに

神々の系譜はこちら。


  • 大国主命の国譲りの下準備も整い、天照大神は長男の天忍穂耳神を神の一族の王として下界に降臨させようと当初、考えていました。
  • ところが、命を受けた天忍穂耳神は、この役目をなぜか辞退してしまうのです。
    この一件は未だにその理由が不明です。日本神話の中の謎とされているのです。
  • 結局、天忍穂耳神の代わりとなったのが、彼の子である天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめにきしくににきしあまつひこひこほのににぎのみこと)(以下邇邇芸命に略)でした。
    邇邇芸命は天忍穂耳神と、造化三神の一柱である高御産巣日神の娘の栲幡千々姫神(たくはたちぢひめのかみ)との間に生まれた子で、由緒正しい直系の子孫。天照大神も異存はありません。
    注)邇邇芸命は省略せずに番能邇邇芸命までは入れ込むべきという説もあります。
  • 邇邇芸命の実際の降臨にあたっては、何人かの随行神が選ばれました。天の岩戸隠れのときに活躍した思兼神や天手力男神、そして天宇受売命、ほかに邇邇芸命の兄の天火明神(あめのほあかりのかみ)の子である天香久山神(あめのかぐやまのかみ)、天目一箇神(あめのまひとつのかみ)などでした。
    注)随行神には他にいろいろな説があります。
  • さらに、天照大神は八岐大蛇退治で素盞鳴尊から献上された天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)と八咫鏡(やたのかがみ)、そして八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)を天璽之神宝(あめのみしるしのかんだから)として邇邇芸命に授けました。これらが、後に神武天皇まで受け継がれていく、いわゆる天皇家の三種の神器(さんしゅのじんぎ)です。
    注)神器は「じんき」ではなく「じんぎ」と濁音で呼びます。
  • さて、いよいよ邇邇芸命は、高天原を離れ、天磐船(あめのいわふね)に乗って八重にたなびく雲を押し分けて、筑紫の日向(ひむか)、高千穂の峰を目指します。
  • しかし、下界に近づくにつれ、ちょっとした事件が待ち受けていました。
    行く手に赤く光る妖しいものが見えてきます。
    何者かと近づくと、それは、異様に大きな鼻、しかもそれが真っ赤に輝いているひとりの神の顔でした。
  • 天宇受売命に様子を探らせてみると、それは猿田彦神(さるだひこのかみ)と名乗り、天孫である邇邇芸命を迎えにきたというのです。そこはちょうど道が四方八方に分岐しているところで、天の八衢(やちまた)といわれる場所でした。
  • 猿田彦神の案内で、邇邇芸命は何事もなくスムーズに高千穂の峰に降臨、地底に届く柱を建て、また高天原に届くほどの千木を高く上げた立派な宮殿を造営します。
    かくして、天孫降臨は成し遂げられたのです。
    注)降臨後、邇邇芸命は、天宇受売命に命じて猿田彦神を彼の故郷の伊勢の国まで送らせますが、この2神は結婚することになります。そして天宇受売命はその後、猿田彦神の名をとり猿女と名乗り、猿女一族の祖先となりました。猿女一族は、宮廷祭祀における巫女のような役割を果たしたということです。

(05/06/26)

神代の物語9. 山幸、海幸神話(やまさち、うみさちしんわ)へ続く。