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祭神と創世の神々(創世の神々とその系譜)

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創世の神々

古事記や日本書紀に記されている、わが日本を創ったとされる創世の神々。
どこからどこまでが「創世」と称していいのかわかりませんが、
調べてみると実在の人物であったと思われる初代天皇である神武天皇以前においても、
神々の系図にはかなり多くの神々の名が記されています。
そのいちばん最初に表されている神々としては、
これから紹介する別天神五柱(ことあまつかみ・いつはしら)と造化三神(ぞうか・さんじん)
および神世七代(かみよななよ)と呼ばれる神々が注目に値します。
タヌポンが知っているなかでいちばん古い神だろうと思われた
天照大神(あまてらす・おおみかみ)ですら、
神世七代(かみよななよ)の後に続く神なのです。
またRPGゲームの話になりますが、ゲームではよくこのあたりの神々のことが調べられていて、
イザナギとかイザナミとかいった名前を知っている人もいることでしょう。
それよりもさらに古い神。
古事記などの文献や神話の世界に入っていかなければふつうは知ることはできませんね。
創世の神々については、以下、まず神々の系譜を参照しながらお読みください。


神々の系譜

地色がブルーは男性神、ピンクが女性神を現しますが、正確に夫婦神として男女が明確になるのは、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)以降です。
それ以前は性のない独神が多いのですが、ここでは男性的、女性的という意味であえて色分類しています。

神々の系譜

神々の系譜改訂版

神武天皇までの系図で、さらに詳細な図を以下に掲載しました。ただし、これは『古事記』に基づくもので上記の図とは神名の文字等が微妙に異なります。系図の細部に関しては諸説あるので、これはそのなかの一説に基づくものですのでご注意ください。[日本書紀]とあるのは、古事記では登場しない神です。菊理媛命など、系図から独立した神も若干、掲載しています。クリックすると若干拡大しますが、文字がみえにくい場合は、下の pdf をダウンロードしてご覧ください。
なお神名のそばに神社名があるのは、当該神が全国共通でその神社の祭神となっていることを示しています。[外宮]とは伊勢神宮の[外宮]です。

神々の系譜

神々の系譜 pdf ダウンロード → PDF形式 (kamigami_keifu.pdf [1362KB])

(14/05/26 追記)


別天神五柱(ことあまつかみ・いつはしら)と造化三神(ぞうか・さんじん)

  • 天と地が初めて別れた時、高天原に誕生した最初の神。その名は、天之御中主神(あめの・みなか・ぬしのかみ)と言います。
  • 次に高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、そして神産巣日神(かみむすびのかみ)。
  • この三柱(みはしら)の神は、性別がない独神(ひとりがみ)として生まれ、造化三神と呼ばれる始まりの神々です。
    注)ただし、高御産巣日神と神産巣日神は役割的に男女に分類すると分かりやすいと思います。
    ちなみに、神様を数えるときは、〜神も使いますが、〜柱という言葉がよく用いられます。亡くなって神格化した偉人もそのように数えるようです。
  • この造化三神に続いて次に、地面がまだ脂のように水の上に浮かび、くらげのように漂っているとき、葦の芽のような勢いを持って生まれたのが、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うまし・あしかびひこちのかみ)。
  • その次が天之常立神(あめの・とこたちのかみ)。
    この二柱の神もまた、配偶をもたない独神として生まれました。
  • 以上のこの五柱の神は、別天神(ことあまつかみ)と言う特別な神様です。
    独神ということがその理由なのかどうかは分かりませんが、この五柱の神は、いつも身を隠して姿を現さなかったといいます。
    注)「うましあしかびひこちのかみ」などがスラスラ言えると、もうあなたは立派な日本の神様マニアです。
  • 以上が天地開闢を伝える神話の神々ですが、古事記では最初に天之御中主神が現れたとなっているのに対し、日本書紀では国常立尊(くにの・とこたちのみこと)が現れたとあります。
    つまり、古事記は天上界、日本書紀では地上界を重視しており、二典に相違が見られます。
    また、国常立尊(くにのとこたちのみこと)は、読み方は同じでも古事記では国之常立神で、表記自体も少々異なります。
    次の神世七代の筆頭で紹介しますが、ここでは主として古事記の表記で統一していきます。

神世七代(かみよななよ)

  1. 別天神(ことあまつかみ)五柱の次に生まれた神は、国之常立神(くにの・とこたちのかみ)。
    国之常立神は別天神の天之常立神と対になる神で、大地の永遠性を神格化した神と言われています。
  2. 次に豊雲野神(とよくものかみ)。豊かな国の繁栄を象徴する神様でしょうか。
    この二柱の神も、独神として生まれ、やはり身を隠して姿を現しませんでした。
  3. 次に生まれた神の名は、宇比地邇神(うひぢにのかみ)、そして須比智邇神(すひぢにのかみ)。
    日本書記では、宇比地邇神は泥土煮、須比智邇神は沙土煮とあり、泥や砂、土など国土、耕作などを意味している神なのでしょうか。
    この二柱以降は対になっていて男神女神に置き換えられますが、夫婦神というのではないようです。
  4. 次に角杙神(つのぐいのかみ)と活杙神(いくぐいのかみ)。対をなす神で、杙とは杭の意味でしょうか。
  5. 次に意富斗能地神(おほとのぢのかみ)、大斗乃弁神(おほとのべのかみ)。
    これも対をなす神で、地「ぢ」は男、弁「べ」は女を現す言葉のようです。
  6. 次に於母陀流神(おもだるのかみ)、次に阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)。
    於母陀流神は日本書記に面足尊とあり、面(=大地)が完成した意味を現しています。阿夜訶志古泥神は於母陀流神と対をなす神ですが、対句のような名にはなっていませんね。
    注)タヌポンが探索を始めた当初、取手市の面足神社という神社を訪ねましたが、それはまさにこの神様が祭神だったのですね。これを調べて初めて、神社の名前の由来が実感として分かりました。
  7. 次に伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、次に伊邪那美命(いざなみのみこと)。

以上、国之常立神から伊邪那美命までを神世七代と言います。
十二神で七代というのは、初めの二柱の独神をそれぞれ一代として数え、残りの十神はそれぞれ二神で一代の対となるので、合計七代と数えます。
前にも説明しましたが、対の二神一組で表される神は男神、女神とはいうものの最後の七代以外は夫婦神ではありません。
神世七代の最後の伊邪那岐命、伊邪那美命が、日本神話上初めての夫婦神なのです。

さて、伊邪那岐命、伊邪那美命の誕生から、日本建国に向けての神代の物語が始まります。
まずは、神代の物語1. 国生みと神生みから。


(05/06/14)