果実といってもトリビアの実みたいなもんかなあ?
イントロの刺身2の「どんぶりこって何だ?」 で紹介したクヌギなどのどんぐり。
これを皿に入れてほおっておいたらいつのまにか、直径1ミリくらいの孔が開いている。
そのそばには、白いうじのような虫が・・・。
先日、拾ってきたどんぐりはいずれもキズのついていないきれいなものを選んできたハズなのである。こんな孔など最初からは開いてはいなかった。
さて、そこで、問題。
このうじのような虫はこの孔から這い出てきたのだろうか?
それとも、どんぐりを見つけて、孔を開けていまから中に入ろうとしていたのだろうか?
つまり、この孔は、入口なのか出口なのかどちらだろう?
答えは、出口。
虫はこの穴を内側から開け、這い出してきたのだ。
そして、かわいそうに死んでしまっていた。
ほかにもシラカシ?(まだ不明)とスダジイのどんぐり2個にも穴が開いていて、
同様にさらに2匹、少し小ぶりの似たような虫が皿の中で死んでいた。
きょうはもう時間がないからここまで。つづきは、明日か明後日。
(04/11/11)(04/10/31撮影)
まず、言い訳から。
上記1から4の疑問に答えるにはどうしても写真もしくは絵がないと説明し辛い。
絵を描くのは上手くないし、写真を撮るには現在の季節ではもう遅いのである。
したがって、ほかの先人のサイトのを拝借するしかない。
以下をご覧いただきたい。
これは「イッカク通信発行所」というサイトから許可も得ずにお借りしたものである。
(とても素晴らしく撮れていて、これでは、いくらわたしが頑張っても来年、これ以上のものは撮れそうもない。とにかくわたしのものではないことを明記しておきます)
このサイトを読んでもらえばすべてが氷解するのだが、わたしなりの説明も少し加えたい。
写真の虫は「ハイイロチョッキリ」という甲虫。
どんぐりはコナラである。
さて、1から4まで順に説明していこう。
1.クヌギのどんぐりに穴を開けたのは−−「ハイイロチョッキリ」や「コナラシギゾウムシ」という名の甲虫の幼虫である。
拝借した写真でわかるように、ゾウムシと呼ばれる種類の昆虫は、長い象の鼻のような口吻をもっていて、これを使ってどんぐりに穴を開けたり、小枝を切ったりする。また、どんぐりの中身をこれでほじりだして食べたりする。
左の写真はいずれも孔が開いているが、そこからそれぞれ幼虫が這い出てきたわけである。
成虫ではなく、幼虫が、である。
したがって、孔を開けたのはあのうじ虫であって、親子そろって穴掘りがうまいわけだ。
大きなクヌギとはちがってスダジイなどの孔は小さめだ。
中の幼虫がまだ育ってないうちに出てきてしまったのか、それとも種類がちがう幼虫で身体の大きさが異なるものなのかも知れない。
クヌギに巣くうゾウムシをクヌギシギゾウムシ、コナラにはコナラシギゾウムシ、栗だとクリシギゾウムシとか言うわけだ。
ゾウムシはとにかく種類が多い(参考)。
シギゾウムシとは鴫象虫と書く。鳥の鴫の彎曲気味の嘴を同じ格好の長い口吻に見立てているのだろうが、鴫+象では、何か意味がダブっているような気がする。
2.なぜ幼虫が出てきたのか−−それは、蛹になるためである。殻の中から孔を開けて這い出てきたのである。
小さな幼虫のほうは、もしかすると未成熟なのに、何か異変を感じてさまよい出たのかも知れない。
3.なぜ死んでしまったのか−−土に、もぐれなかったためである。
幼虫はどんぐりの中で十分、栄養をとった後、外へ出て土を目指す。そして地中で蛹になる。
わたしはつるつるすべる陶器の茶碗にどんぐりを入れていたため、
這い出てきた幼虫はそこから脱出できずに力尽きて死んでしまったのだ。
知らなかったばかりにかわいそうなことをした。ひとこと言ってくれればよかったのに(苦笑)。
4.キズのないきれいなどんぐりだったのに、どうしてこの幼虫が最初から入っていたのか−−それは、親である成虫が、どんぐりの殻斗(かくと=はかまの部分)の上から小さな孔を開け、卵を産み付けていたからなのだ。(拝借写真の中央の成虫がどうもその孔開けの最中らしい)
卵はいわゆる卵型の楕円形で、長径1ミリ程度。1回の産卵で、つまりどんぐり1個につき1個のみ。
そして産卵の孔は、這い出てきたときにできる孔よりずっと小さい。虫眼鏡で見なければちょっと見逃すような大きさなのだ。
しかも、ゾウムシたちは、この産卵孔を、ほじって得たどんぐりの実の粉を詰め込んで補修し、わからないようにしてしまう。
道理で、拾ったときも気づかなかったわけだ。孔をあけるのも閉じるのもあの器用な長い口吻だ。
そんなスグレモノの口吻をまだもたない幼虫が、どんぐりから這い出るために孔を開けるのは苦労なことではないだろうか。
それとも中から開けるのは比較的ラクなのかも知れないが・・・。
さて、「ハイイロチョッキリ」という種類だけにいえる不思議な性癖がある。
「・・・・チョッキリ」という名のつくゾウムシもたくさんいるのだが、それらは皆、その名のとおり、植物の葉や枝を「チョッキリ」と切り落とすという特技をもっている。
「ハイイロチョッキリ」はどんぐりに産卵した後、そのどんぐりが付いた枝をあの長い口吻をのこぎりのように左右に振って切り取り、そして地面に落としてしまうのだ。
したがって、コナラなどの木の下にいくと、まだ枯れていない葉と若いどんぐりが付いた枝が落ちていることがあるのは、このハイイロチョッキリのしわざということだ。
なぜそんなことをするのだろう?
これにはいろいろ説がある。
どれもなるほどと思う。賢い。
では、ほかのシギゾウムシなどはなぜそうしないのか?
登場する時期が少しずれるからということが考えられる。
コナラシギゾウムシなどはハイイロチョッキリより後に登場して、十分成長したどんぐりに産卵するからすぐ地面に落ちてしまうのでわざわざ枝を切り落とす必要がないということらしい。
そうでなければ、ハイイロチョッキリは力が少し弱く、まだ若い柔らかめの表皮(堅果)しか孔を開けられないということだろうか。
いずれにせよ、どんぐりと親しい虫たちにも不思議な世界がいろいろあるようだ。
(04/11/13)
参考文献