じぶん探訪

遠出はできないと思っていたけど、一生に一度はね。ということで。

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その7-2.イタリア紀行U 「ミラノ着。期待はずれも天気快晴」

このツアーは、まずイタリア北部のミラノに着陸して、以下順にベネチア、フィレンツェと南下し、最終的にローマから日本に帰国する。イタリアを南北に分けると、中部に位置するローマもどちらかといえば北イタリアに属する。したがって今回のツアーは北イタリア旅行ともいえよう。ナポリやゴッドファーザーでおなじみのシチリアなどは南イタリアに属するというわけである。
南北のちがいをひとことでいえば、北は裕福で歴史的建造物、芸術作品が多いのに対し、南は貧しいけれど自然の景色が素晴らしい、ということだ。ただ、北が富裕というが、イタリアの経済活動の70%を占めているのが、実はローマではなくミラノであるという。ミラノを本拠地とするサッカー・チーム、ACミランが有名な都市である。ミラノがリッチな街ならさぞかし美しいところかと到着地点に期待したのだが・・・。

旅行社さん、これはビジネスホテルじゃあないの?

ミラノ、ホテルの部屋のKey
いまどきカードキーではない旧式の部屋のキー。右に2回回しがわからず少しとまどう。

成田を13:40に発ってミラノに着いたのが日本時間で翌深夜の2時すぎ。これは現地時間ではまだ前日の夕刻19時ころになる。時差は夏時間で7時間。イタリアが7時間遅くなるというわけだ。
ヨーロッパの春〜夏は日没が遅く、夜8時ころまではまだ明るい。しかし、空港での手続きを終え、バスに乗ったときはすでに日は暮れていた。
わたしが初めて海外旅行でパリのシャルルドゴール空港に着いたときも同様にホテルまで夜の街を走ったのだが、暗かったにもかかわらず初めて眼にする窓外の美しい街並み・景色に素直に驚かされた。
だが、ミラノはなにか色あせている。はっとするような建造物も見えないし、これではまるで東京と同様である。わたしはかねがね妻や娘に、「とにかく街の様子がぜんぜんちがう。すべてが美しい」などと吹聴していたのだが、これでは示しが付かない。
やがてバスは町から郊外へと抜け、なにか物寂しい箇所で停車した。景色はガランとした工場跡地のようなイメージ。添乗員は、市内のホテルがキープできなくて郊外となりました、としれっと説明していたが、これがAグレード?さらに、ホテルロビー脇のとりあえずキーをもらうために集まった場所ではシートがはがれかけたソファーなどひどい仕様。10何時間も機内に閉じ込められてさあっ着いたと思ったら、こんなスタートでは思いやられるなあ。そんな表情がツアー客35人全員の表情にあったといえば誇張だろうか。また、添乗員は、彼が悪いわけではないが、こんなことも言い、みんなの気持ちをさらに暗くさせた。「あいにくと明日の天気予報はよくないですね。雨具の用意をして明朝よろしく」。ホントかよ。月が出ていたのに。そしてわたしはここ数年、自分でも驚くほどの晴れ男なのに!
着陸少し前で夜食用の機内食が出されたわけだから、ホテルでは夕食をとることはなく、飛行機に乗ってきた者には少し長い夜を経て現地時間の翌朝へと移行することになる。が、明朝は6時のモーニングコールで、未明からもう出立準備である。
天気の予測といい、ビジネスホテルのような設備といい、また、翌日からのあわただしさといい、さい先は決していいとはいえない雰囲気だが、とりあえず明朝からが観光の本番。まずは、ホテルの部屋を検分してみよう。

水周りの不備は定番だが、部屋はまずまず

のっけからちょっと当惑したが、ロビーを見てみると、閑散としてはいるが、まあこんなものか(写真下左)。旧式の鍵で開錠に少し手間取ったが、部屋に入ってみると、意外と清潔ではないか!(写真下右)
ちなみにわたしの家族は3人グループなのだが、だいたいツアーは2人セットでツインルームがデフォルトである。家族3人ならトリプルという例があるがすべてのホテルにあるとは限らない。通常なら、わたしと妻が同室ツインで、娘がシングルほかということになるが、わたしのイビキがキョウーレツなため、家族合意により妻と娘が同室、わたしは別室ということにした。ツアーの場合、1人での参加による部屋の割当て、仕様は不確定要素が多い上に、10万円ほど割高になってしまうがしかたない。ツインの部屋をわたし1人でというのがまあ余分に支払っているから当然のような気もするが、シングルの小さな部屋に閉じ込められてしまうこともある。ここミラノではツインの1人使用ということに一応なったようである。

ミラノホテルロビー ミラノホテル部屋
ドライヤーも装備

ドライヤーもここには標準装備されていた。わたしは使わないけど、髪の長い女性は「必」だそうだからね。そのため、うちの女性陣も日本からドライヤー持ってきたし、それだけでなく変圧器も必要だし・・・。ツアーでは、ドライヤーがホテルにあるのかどうか事前にわかればムダな荷物が減るんだけど、なんか旅行社でのホテル手配はどうもぎりぎりまで確定しないみたいで、とてもそんな細かい仕様までは分からないようだ。
いくつかのデジカメのバッテリー充電も、すべて変圧は不要だった。ずいぶんとよけいなものを持ち込みすぎたが情報不足の不可抗力もある。ちなみに、イタリアはほとんどが220V、プラグタイプは丸いC typeである。デジカメのバッテリーチャージャーはほとんどが100-240Vの世界対応になっているので変圧は不要だが、変換用のプラグだけは用意しないとダメ。また、ホテルのルームにはコンセントがひとつしかないケースが多い。同時に2つ以上、電源が必要な場合は、日本用のマルチプラグももって行く必要もあるだろう。

バスタブ

さて、問題の水周りであるが・・・やはりわが日本のホテルのように完璧には程遠かった。

ホテルのバス

問題はバス。バスタブの栓が不良品。引っ張りあげると写真のようにチェーンは宙ぶらりんで、栓を排水口に設置してもうまくはまらず水漏れもする。これではお湯をためるのは相当時間がかかるだろう。
また、致命的なのは、下のシャワーとバスタブへの排水切り替え金具が、錆付いているのか、押し込もうとしても、引っ張ってもどうにもガンとして動こうとしないことだ。(逆に、シャワーを設置している留め金のほうはゆるくなり過ぎていて、すぐシャワーがふらふら倒れかかり固定しにくい)
こんなこともあろうかと、実はわたしは日本からペンチなど用意して持ってきたのだ。
ところが、この切り替え金具の接着度合いは、単にわたしの右肩の筋肉をおかしくさせるだけに終始し、わたしはむなしくペンチをスーツケースの奥深くにしまってしまうことになる。
シャワーからじょびじょびとゆるく出る、蛇口からもちょろちょろと少し出る、というなんとも使い勝手の悪い状態。いずれかに仮に統一できたとしても、日本のように思い切りお湯が飛び出すとはとても思われない低い水圧。また、それにもまして難易度の高いのがお湯の温度調節。飛び上がるほど熱い攻撃か、身も凍るほどの冷たい仕打ちか、どちらかを少なくとも1回は前戯として楽しまなければならない。
ただ、こんなことはわたしかつて知ったるもので添乗員・ホテルマンを呼ぶほどでもなかったのだが・・・。

トイレ

トイレ

こまったのはトイレ。
ただしこれはわたしの無知識、勘の悪さが原因とも言える。
旅先ではとかく便通に異常をきたすのはだれしもあることだが、わたしはウンよくこのホテルで排便をすることができた。
ところが、である。
水を流す方法が分からない!
まわりを探しても、わが家のトイレにあるような金具のレバーがどこにも見当たらない。
どんなに旅の恥は掻き捨てとはいうものの、「大」をそのままにしてフタをしただけでチェックアウトするわけにはいかない。日本人の評判をどんなにダウンさせるかしれやしない。
いろいろ壁を探しまわって唯一、これしかないと思った左写真のトイレ上部にある仰々しい白いプラスチック使用のフタのようなもの。
これをめくればレバーが現れるものと勘違いしたわたしはそれをこじ開けようとするがびくともしない。
思い余って妻たちの部屋に電話して娘に聞いてみるとやはり、それだという。そのとき、入浴中だった娘はわたしの部屋まできてみずから教授できる状態ではなかった。
ハタと行き詰ったわたしはしかたなく添乗員を呼ぶことにしたのだが、まだ彼が部屋に来る前に、
「もしかして、これは大きなボタンであり、押すのかも」と、その仰々しい大フタの真ん中を押してみると・・・。
なんと水が流れるではないか!
最近、海外はおろか日本のホテルに泊まっていなかったけど、こんなラージボタンが最新の仕様だったの?
実は、このボタンのフタを強引にねじ開けて中の妙な電源配置を見てしまったわたしである。これはちがうなとあわてて、もとに戻そうと叩くように取り付けたが、少し傾いてしまった。ちょっと触ればストンと落ちそうでもある。器物損壊だが、もう黙っているしかない。フタの位置はズレたが、電源の接触は生きているようで、押せばなんとか水は流れるので安堵。

ビデ

トイレとビデ

さて、問題は左写真の右側に写っている小型バスタブのようなもの。
賢明な諸君はこれがなんであるかお分かりと思うし、わたしも、いままで海外で何度も眼にしているのでいまさらなんの驚きもないのだが・・・。
後日談であるが、帰国した後、妻が、「あれはなんなの?」
おいおい、知らないのかよ。まさか、あれで顔を洗ったり、うがいしたりしなかっただろうね。
マジでたずねましたよ。
ここの読者でホントに知らない人は、インターネットで「 ビデ 」を検索すればすぐに。
意外とこれは、海外とくに欧州旅行で予備知識として知っておかなければならない重要必須項目ではないのかなあ。

警報アラーム

警報アラーム

これは、実は、出国前にネットで知ったことなのだが、海外のホテルのバスで、天井近くからなにかヒモがぶら下がっていて、これをよく日本人が引っ張ってしまう、という話が掲載されていた。
このヒモは、バスルームでなにかトラブルがあったときにホテルマンを呼ぶためのアラームなのだが、好奇心あふれるわが同胞たちは、とくに問題が起きてもいないのにこれを各部屋で一斉に引いてしまいホテルマンをてんやわんやさせてしまう、というのである。
くれぐれも、用もないのに戯れに引っ張らないように、と海外ホテル支配人がお願いをしている。
はて、そんなものがあったかな、とさっそくミラノのホテルに着いて真っ先にこれを確かめてみると、確かにあった。
こっけいなのは、部屋の中で唯一、ここに「警報ベル」と日本語が記されているではないか!(写真クリック拡大参照)
ネットに書いてあったこまった日本人の話はまさにホントだったのだ。
わたしは、思わず笑いながら、ついそのヒモを引いてみたくなる衝動を辛うじて抑えた。

一夜明けて、快晴

早朝ホテルの窓より

わたしは家でもそうだが、とくにこんな旅行に出ると、極端に睡眠時間が少なくなる。
平均3時間でもなぜかもってしまう。もちろんあとでそれなりの反動はくるのだが、寝付いても短時間ですぐ眼が覚めてしまうのだ。
ミラノまでの飛行機の中でも日本時間の日中であったせいもあってほとんど眠っていなかったし、日本時間なら深夜2時過ぎにホテルに着いても現地時間では宵の口だから、結局、現地での深夜までいろいろ何かやっていた。相当長時間起き続けていたにもかかわらず、その後、床に就いたのだがほんの仮眠程度。
で、翌朝も、4時過ぎころから起きだしてテレビなど見たりしていた。
日没が遅い分、夜明けは遅く、7時ころになるが、窓から空を見て、してやったり、と思った。
快晴である。わたしの晴れ男は外地でも健在だった。
これなら、雨具は不要である。いったい添乗員の見たのはどんな天気予報だったのだ?
わたしはすぐに準備していた折り畳み傘をスーツケースに仕舞った。

ミラノホテル

出発前にホテルの外観を撮ってみたが、なんと Business Palace なんてある。
やはりビジネス仕様なのか?
もっとも、一夜明けて午前から即、ミラノ市内に観光に出て、午後にはもうベネチアに向かってしまう日程。
ほとんど前夜からそのままにしておいたスーツケースをもう早朝からチェックアウトしてバスに積み込むわけである。
要はこのホテルは朝食だけでいわばほとんど素泊まり用ということになる。それなら、グレードの高さを選ぶよりここでコストを下げたほうがリーズナブルかも知れない。
そういう観点で考えてみると、この分だと、最初は多少印象がよくなかった本ツアーだが今後、次第によくなるかもしれないということで、逆のケースよりもいいかなと思った。
また、それは現実のものになった。

すごい縦列駐車

なんかいい景色はないかとホテルの横をのぞいてみると、びっしりとクルマが縦列駐車。そのすごいテクニックには妻が舌を巻いていた。
縦列駐車はともかく、辺りの景色はヨーロッパらしくもなく日本のどこかの地方都市のようで、わたしはまだ家族に「これがヨーロッパだよ」というものを見せてやれないことに少し苛立ちも感じた。
が、観光準備はここまで。
これからがいよいよほんとうのイタリアツアー本番である。( イタリア紀行Ⅲ に続く)

(09/04/26) (09/04/09・09/04/08撮影=現地時間)